福島地方裁判所 昭和49年(わ)95号 判決 1974年7月29日
本店所在地
福島県白河市字本町三四番地
名称
東北商事株式会社
代表者氏名
佐藤享
本籍・住居
福島県西白河郡東村大字釜子字本町一一番地
職業
会社役員(東北商事株式会社取締役)
氏名
佐藤享
年令
四六年 昭和三年三月三一日生
右両名に対する法人税法違反被告事件につき当裁判所は検察官寺尾淳出席のうえ審理して次のとおり判決する。
主文
被告人東北商事株式会社を罰金七〇〇万円に、同佐藤享を懲役八月に処する。
被告人佐藤享に対し、この裁判が確定した日から二年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人東北商事株式会社(以下被告会社という)は、福島県白河市字本町三四番地に本店を置き、管工事および家庭電器製品の販売業を営む資本金一〇〇万円の株式会社であり、被告人佐藤享は、右会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人佐藤享は、右会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、同社の取締役佐藤喜一郎と共謀のうえ、工事収入の一部除外、工事費の水増しまたは架空計上、期末の資材たな卸高または仕掛工事高の一部除外などの不正な方法により、その所得の一部を秘匿したうえ
第一、昭和四五年七月一日から昭和四六年六月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が二七、六四一、七六八円で、これに対する法人税額は九、八九五、五〇〇円であつたにかかわらず、昭和四六年八月三一日所轄白河税務署長に対し、当該事業年度の所得金額は五、一六一、八五五円で、これに対する法人税額は一、六三四、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の実際の法人税額九、八九五、五〇〇円との差額八、二六一、四〇〇円をほ脱し
第二、 昭和四六年七月一日から昭和四七年六月三〇日までの事業年度における実際の所得金額が五一、四二九、八四七円で、これに対する法人税額は一八、五〇九、二〇〇円であつたにかかわらず、昭和四七年八月三一日所轄白河税務署長に対し、当該事業年度の所得金額は八、五一五、七四三円で、これに対する法人税額は二、七四五、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の実際の法人税額一八、五〇九、二〇〇円との差額一五、七六四、〇〇〇円をほ脱したものである。
なお、右各所得の内容は別紙一、二の各修正損益計算書のとおりであり、各税額の計算は別紙三、四の各税額計算書のとおりである。
(証拠の標目)
判示事実全部につき
一、被告人の当公判廷における供述並びに検察官に対する各供述調書と収税官吏に対する質問てん末書、上申書、嘆願書
一、登記簿謄本
一、佐藤喜一郎、渡辺明男、門間けい子の各検察官に対する供述調書
一、小林重正、水野精一郎、鈴木ヨシ子、荒川棣子、沼田定蔵、甲賀輝利、深谷善次郎、霧生正吾、高橋巌、佐藤左内、佐藤明、中沢達男、祓川邦昭、佐藤玲子の各収税官吏に対する質問てん末書
一、小林重正、永野精一郎、霧生正吾、狐塚充弘、中沢達男、黒沢利勝、黒沢貞夫、佐藤玲子、藤野吉助、鈴木広政、大橋一男の各上申書
一、臨検てん末書三通と検査てん末書
一、橋本誠に対する貸付金調査書
一、工事収入除外額調査書
一、簿外支払設計料調査書
一、簿外預金調査書
一、個人関係預金調査書
一、簿外借入金調査書
一、架空工事費調査書
一、簿外貸付金調査書
一、公表借入金にかかる簿外支払利息調査書
一、佐藤喜一郎商品取引調査書
一、佐藤喜一郎証券取引および受取配当等調査書
一、期末棚卸高調査書
一、会長勘定調査書
一、銀行調査書
一、証券会社調査書
一、取引内容の回答についてと題する書面三通
一、押収してある請求書及び領収書綴一綴(昭和四九年押第三四号の四)、同在庫明細書一綴(同号の一一)、同工事資材在庫調一綴(同号の一二)、同請求書控五冊(同号の一三の一ないし五)、同領収書控二冊(同号の一四の一、二)、同金銭月賦借用証一枚(同号の一五)、同月賦貸付御通帳一冊(同号の一六)、同金銭借用証書三枚(同号の一七の一、二、一八)
判示第一の事実につき
一、脱税額計算書(検二号)
一、法人税修正確定申告書謄本(検四号)
一、押収してある法人税確定申告書一綴(昭和四九年押第三四号の二二)、同総勘定元帳一綴(同号の二)、同決算書資料一綴(同号の六)、同たな卸表一綴(同号の九)、同手帳一冊(同号の二〇)
判示第二の事実につき
一、脱税額計算書(検三号)
一、法人税修正確定申告書謄本(検五号)
一、押収してある法人税確定申告書一綴(昭和四九年押第三四号の二三)、同総勘定元帳一綴(同号の三)、同相鉄の那須湧泉峡温泉水道設備工事請求内訳明細書一綴(同号の五)、同決算書資料一綴(同号の七)、同たな卸表一綴(同号の一〇)、同四七年度決算調整メモ一枚(同号の一九)
(法令の適用)
法律に照らすに、被告会社の判示各所為は、いずれも法人税法第一五九条第一項、第一六四条第一項に該当するところ、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、同法第四八条第二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内において、又被告人佐藤享の判示各所為は、いずれも法人税法第一五九条第一項、刑法第六〇条に該当するから所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四七条本文、第一〇条により犯情重いと認める判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内において、主文第一項掲記のとおり量刑処断し、被告人佐藤享については刑法第二五条第一項を適用して、この裁判が確定した日から二年間その刑の執行を猶予する。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 関口亨)
右は謄本である。
昭和四九年八月三日
同庁
裁判所書記官 亘理正篤
別紙第一
修正損益計算書
自 昭和45年7月1日
至 昭和46年6月30日
<省略>
<省略>
別紙第二
修正損益計算書
自 昭和46年7月1日
至 昭和47年6月30日
<省略>
<省略>
別紙第三
<省略>
別紙第四
<省略>